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Amazon Freshの特徴とAmazonの戦略

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Photo by nrd on Unsplash

 

 

Amazon Freshとは?

 

Amazon Freshとは、アマゾンが2020年9月、ロサンゼルス郊外にオープンした(実在の)スーパーマーケットのことです。

その後、カルフォルニア州、イリノイ州(シカゴ)を中心に、店舗数を増やしています。

 

生鮮品を宅配するAmazonフレッシュとは異なります。

 

https://www.amazon.com/fmc/m/20190651?almBrandId=QW1hem9uIEZyZXNo

 

Amazon Freshの特徴

 

 (編集時の情報)

 

  • 朝の7:00から夜10:00まで営業
  • 安い(1.79ドルのピザスライスや、15セントのバナナ等)
  • 厳選されたオーガニックフードや地元の食材
  • 便利なダッシュカート(Amazon Dash Cart) 
  • スマホアプリとの連動
  • Alexaを活用したお買い物サポート

 

Amazon Dash Cartによる利便性

 

スマートショッピングカートである、ダッシュカートに商品を入れると、レジでの精算は不要です。また、事前に作成したAlexa Shopping Listの内容をダッシュカートに搭載されたスクリーンに表示することができ、買い物中に小計を確認したり、クーポンを読み込んだりすることが可能です。

 

ダッシュカートの利用は、Amazon App(スマホアプリ)のQRコードを読み込ませることでスタートします。

 

Amazon Goとの違い

 

これってAmazon Goじゃない?という感じがすると思いますが、 やはりダッシュカートに違いのポイントがあるようです。

 

Amazon Goは、アプリをインストールしたスマホでチェックインすれば、レジに並ばずに、商品を手にして、そのまま店外に出ていっても、Amazonアカウントで精算されるというサービスです。

 

Amazon Goは、「レジに並ぶ手間、顧客の無駄な時間を無くす」という点がベネフィットで、Amazonである必要性、ユニークさは特にありません。

  

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Amazon Freshの戦略

 

一方で、Amazon Freshは、買い物前から買い物中という、顧客の買い物体験にAmazonのサービス、ユニークさが反映しており、Amazon Goとは大きく異なります。

 

以下、Amazonの売り上げが最大化するための戦略をいくつか考えてみます。

 

戦略オプション① オンラインでもオフラインでもAmazonで買い物してもらう

 

オンラインでの購入履歴に応じて、オフラインでもおすすめ商品を提案してくれたり、 双方の購買履歴に基づくクーポン提供や、リワードプログラム等、OMO、オンラインとオフラインが融合する顧客ベネフィットは大きいです。

 

Amazon側からすると、ダッシュカートを介した顧客の行動データは、店舗の商品配置や動線設計に活用できます。またオンライン購買データに基づいて、実店舗の来店予測や販売品の最適化や在庫調整等が可能になりますね。

 

戦略オプション② オフラインデータを活用してオンライン売り上げを最大化する

 

あくまでも最大化の対象はオンライン売り上げだとした場合、どのようなオフラインデータを活用して、何を改善する狙いがあるのでしょうか?

 

通常、Amazon.comでの買い物は、私たちの生活の全てではなく、その一部に過ぎないとした場合、オンラインデータだけでは顧客の生活を把握しきれません。

 

「スーパーでの買い物」という日常行動には、顧客の生活パターン、日々の感情変化が現れています。毎日牛乳を2本買う、季節のフルーツを買う、月に一度ケーキを買う、牛乳2本のうち1本を豆乳に変えた等、顧客の行動から、その人のライブイベントやライフサイクルの変化まで推測することができます。

 

このような顧客行動は、ある程度のかたまりへ分類できるはずで、分類したクラスタを保有することは、Amazonにはとても有用です。また、顧客の行動は変化し続けるものなので、継続的にデータを収集することができるタッチポイントが必要になります。

 

Amazon.comで買い物をしている顧客、すなわち私たちのことをAmazonは知ろうとしており、ある程度の人物像は形成しているかもしれませんが、私自身を振り返って考えると、Amazonが形成した"わたし"の人物像は間違っている可能性が高いです。

 

しかし一方で、Amazon Freshでの自分の行動が全てデータ化された場合、私の買う物、買い物する時間・頻度、店舗内での歩き方・歩く速度、売り場を周る順番等を収集された時、Amazonが、"わたし"のことを今よりも正確に知ることが出来ると推察します。

 

ちなみに、フィジカルなタッチポイントとしても実店舗は有用で、オンラインで購入した商品の受け取りや返品を行うことが可能です。

 

今後の展開 

 

Amazon Freshの店舗拡大における方向性が気になります。

 

  • ターゲットとなる顧客を全てカバーしにいくのか?
  • 顧客理解を目的としたデータ獲得が一定のゴールなのか?

 

今後の展開から目が離せないですね。